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高齢者に人気の芋掘りゲーム|室内で楽しむ秋のレクリエーション完全ガイド

Author

Sarah Cherry

Updated on July 16, 2026

秋が近づくと、介護施設のレクリエーション担当者が毎年頭を悩ませる問いがある。「今年はどんな秋のレクにしようか?」。そのなかで、近年じわじわと注目を集めているのが芋掘りゲームだ。実際の畑に行かずとも、室内でさつまいも掘りの興奮と喜びを再現できるこのゲームは、デイサービスや老人ホームを中心に、高齢者レクリエーションの定番として確固たる地位を築きつつある。

高齢者が室内で楽しむ芋掘りゲームのレクリエーション

芋掘りゲームとはどんなレクリエーションか

一言でいえば、「室内で再現された芋掘り体験」だ。本物の土の代わりに新聞紙をちぎって箱やビニールプールに詰め込み、その中に手作りまたは既製品のさつまいもの形をしたアイテムを隠す。参加者はそれを手や道具を使って掘り当てる、という仕組みである。シンプルに見えて、実際の現場では笑い声が絶えない。

ビニールプールの中にちぎった新聞紙を敷き詰め、その中にさつまいもや秋の味覚にちなんだ食材などを埋め、手探りで掘り当てるゲームとして実施されている介護施設もある。触った感触だけで中身を判断しようとする行為が、脳への適度な刺激となり、参加者同士の会話も自然と弾む。

新聞紙で作ったさつまいもをふかふかの紙の「土」に隠して探し出す芋ほりゲームは、楽しみながら自然と手先の運動にもつながる、秋らしいレクリエーションとして位置づけられている。これが高齢者の身体機能と認知機能の両方にアプローチできる点が、介護スタッフにとっても魅力のひとつだ。

なぜ高齢者に芋掘りゲームが刺さるのか

懐かしさ、というものの力は侮れない。現在の80代・90代の方々が子どもの頃、農村文化が色濃く残る時代を生きてきた人は多い。芋掘りは遠足行事としても親しまれ、泥だらけになりながらさつまいもを抜いた記憶が、身体の奥深くに刻まれている。そのノスタルジアをゲームの形で呼び起こすことで、参加者は自然と前のめりになる。

高齢者の生活はどうしても単調になりやすいため、レクリエーションに参加することで人と触れ合い楽しい時間を共有することは、高齢者にとって大きな意味を持つ。芋掘りゲームはまさにその「楽しい時間の共有」を最大化できるコンテンツといえる。掘り当てた瞬間の「あった!」という歓声が、周囲の参加者の笑顔を引き出し、フロア全体が活気づく。

高齢になると、他者とコミュニケーションをとることが少なくなってしまう人も多い。レクリエーションは、他の利用者や介護職員とコミュニケーションをとる場を提供できるため、新たな親交や交流が生まれやすい。芋掘りゲームのような対戦・競争要素があるレクなら、その効果はさらに高まる。

室内芋掘りゲームの基本的なやり方と準備物

準備はそれほど複雑ではない。基本的な材料は家庭にある廃材で揃うことが多く、コストをかけずに実施できる点も現場スタッフに歓迎される理由だ。

まず「土」の代替品として、大量の新聞紙が必要になる。これをちぎって箱やビニールプール、あるいは深めのカゴに詰める。次に「芋」の準備だ。新聞紙や紙粘土で手作りしたさつまいもの形のものを複数用意する。色を塗って見た目にもこだわると、完成度が上がって参加者の興味を引きやすい。

紫や茶色、金や銀といった色とりどりの種類のお芋を用意し、その他は茄子や柿、きゅうり、とうもろこし、ぶどうなど色んな食材も混ぜ入れ、触った感触を頼りに掘り出す形式にすると、難易度と多様性が増してゲームとしての奥行きが生まれる。

スコップの代わりに棒を使って土を掘り起こすように芋を探す方法も取り入れると、手先の細かい動きだけでなく、道具の操作も訓練になる。道具を持つことで安全性を保ちながらも、本物の芋掘りに近い感覚を演出できる。

デイサービスのフロアに「芋畑」を再現し、鍬の形をした道具で新聞の山を掘り、隠れている芋を掘り当てる形式も実施されている。芋が見つかるたびに、やる気が倍増するという声もあがっている。

新聞紙を使った室内芋掘りゲームの準備の様子

バリエーション豊富なアレンジアイデア

同じゲームでも、少し工夫するだけで毎回新鮮な体験になる。介護現場での芋掘りゲームには、さまざまなアレンジが考えられている。

チーム対抗戦として実施するのも効果的だ。「誰が一番多く採れるかな?」と自然と競争のような雰囲気になり、会場が大盛り上がりになる。まるで本物の芋ほりのような熱気に包まれるという実施例が報告されている。参加者同士の応援や声かけが自然に生まれ、コミュニティの一体感が醸成される。

足を使った芋掘りゲームというユニークなアレンジも存在する。箱に入った長い新聞紙を足で引き寄せ、先に芋が出てきた方の勝ちというゲーム形式もあり、足の運動機能の維持・向上を目的としたリハビリ要素のある内容として活用されている。座った姿勢で行えるため、車椅子利用者にも対応しやすい。

ポイント制の得点ゲームにする方法もある。芋の種類ごとに点数を設定し、色違いのさつまいもは高得点、野菜類は低得点といったルール設定をすれば、戦略性が加わって知的な楽しみも増す。単純な体験型から一歩踏み込んだゲームになり、認知機能への刺激も高まる。

高齢者への健康・心理的効果

芋掘りゲームは「楽しいゲーム」にとどまらない。医療・介護の観点から見ても、複数の側面から高齢者の健康を支える要素を持っている。

高齢者レクリエーションのいちばんの意義は、利用者さんの身体機能の向上や脳の活性化、コミュニケーションの促進を図ることだとされている。芋掘りゲームはその三要素すべてにアプローチできる点が際立っている。

手探りで形を識別する動作は、触覚認知を働かせる。手・指・腕を使って「掘る」「つかむ」「引き出す」という一連の動きは上肢の筋肉と関節に適度な負荷を与える。楽しみながら無理なく体を動かせることはレクリエーションの大きなメリットのひとつであり、ゲームを楽しむ感覚で身体を動かせるので、効果的に身体機能を刺激することが可能だとされている。

精神面への効果も見逃せない。体を動かすレクリエーションは、リハビリ効果に加えてストレス解消にも有効であり、レクリエーションを通して体を動かすことで、心身機能の維持や向上、寝たきり防止につながる。季節感を感じながら「達成した」という充実感を味わえる芋掘りゲームは、精神的な自立心や意欲の向上にもつながる。

安全に実施するための注意点

どんなに楽しいレクリエーションでも、安全対策が疎かでは本末転倒だ。高齢者特有の身体的条件を考慮した進行が欠かせない。

デイサービスや介護施設には体力や認知機能、介護度などがそれぞれ異なる方が利用されており、一人ひとりの状態を把握した内容を選び、楽しむことを目的にすることが重要だ。麻痺がある方や車椅子を使用している方には、手が届く範囲で無理なく行える動作を中心に構成することで、安全に参加できる。

麻痺の有無や介護度、認知機能レベルを把握し、高齢者にとって安全な内容や種類を選ぶこと、さらに必要に応じて職員とペアを組んだりサポートしたりするといった柔軟な対応を心掛けることが大切だ。

「土」として使う新聞紙については、紙の切れ端が口に入らないよう、破片が小さくなりすぎないよう注意したい。認知症のある参加者がいる場合は、誤飲のリスクを考慮した素材選定も重要だ。ゲーム中は必ずスタッフが近くで見守り、転倒や過度な前傾姿勢にも注意を払う。

デイサービスでスタッフがサポートしながら行う秋のレクリエーション

介護スタッフが企画する際のポイント

芋掘りゲームを成功に導くカギは、事前の準備と参加者への丁寧な説明にある。突然「やってみましょう」では、特に認知機能が低下している参加者には戸惑いを与えてしまう。

まず職員によるデモンストレーションを行いながらルールを説明することで、参加者が真剣な表情で聞いてくれる。視覚的にルールを理解してもらうことで、スムーズなゲーム進行が可能になる。

全員が参加して盛り上がれるように観察することが重要であり、スタッフが適宜サポートすることが求められる。輪に入るのが苦手な参加者には個別に声をかけ、無理のない形で関われるよう工夫する。ゲームに勝ち負けよりも、参加したこと自体を称える雰囲気づくりが大切だ。

季節との連動も効果的だ。これらのレクリエーションは、施設利用者全員が活発に過ごせる時間帯に開催されることが多く、高齢者の元気回復や施設生活の楽しみ作り、さらには楽しみながらリハビリを行うことなどが目的として挙げられる。秋のイベントとして定着させることで、参加者が「毎年この季節にある」と楽しみにするルーティンになる。

ゲーム後の「おやつタイム」も忘れずに

芋掘りゲームの醍醐味は、ゲームの後に続くひとときにある。レクリエーションが終わった後はお楽しみのおやつとして、芋掘りレクにちなんでお芋で有名な川越のお菓子をご提供するなど、テーマに合わせたおやつを出す施設もある。さつまいもを使ったスイートポテト、大学芋、芋けんぴといった秋らしいお菓子でゲームの余韻を楽しむ時間は、高齢者にとってもうひとつのご褒美になる。

食事・おやつの時間は、ゲーム中に生まれた会話がさらに続く場にもなる。「あの時は〇〇さんがたくさん掘ってたね」「あの形は何だったんだろう」という振り返りが自然と生まれ、コミュニティとしての絆が深まる瞬間でもある。

自宅でもできる?家族と楽しむアレンジ版

芋掘りゲームは施設専用のレクリエーションではない。自宅でご家族と一緒に取り組めるレクリエーションもたくさんあり、ご本人に合ったものを選んで挑戦してみるのも良い。段ボール箱に新聞紙を詰め、紙粘土で作ったさつまいもを隠すだけで、自宅でも同様のゲームが楽しめる。週末の家族の時間に取り入れれば、孫と祖父母が同じ目線で笑える貴重なひとときになる。

ルール設定は家族構成に合わせて柔軟に変えられる。幼い子どもが参加する場合は制限時間なしのほのぼの型に。元気な高齢者が相手なら、ポイント制の本格対戦型にしても盛り上がる。いずれにしても、勝ち負けよりも「一緒にやった」という体験の共有が目的だ。

秋のレクリエーションとして根付く理由

芋掘りゲームが高齢者レクリエーションとして広がり続けているのは、単に「楽しい」からだけではない。準備コストが低い、道具を大幅にカスタマイズできる、身体機能への配慮がしやすい、そして何より「懐かしさと季節感」という感情的な価値を持っている。この複合的な強みが、介護現場で選ばれ続ける理由だ。

高齢者施設で行うゲーム系レクリエーションの目的として、利用者同士の交流を促すこと、脳に刺激を与えること、身体的な機能の維持・向上、そして利用者の生きがい・楽しみにつながることが挙げられる。芋掘りゲームはこの四つの目的を、一つのアクティビティで同時に満たすことができる数少ないレクリエーションのひとつだ。

毎年秋になれば新聞紙の「土」が広がるデイサービスのフロア。そこに広がる笑顔と歓声は、ゲームの勝敗ではなく、人と人がつながる瞬間から生まれる。芋掘りゲームが高齢者に愛され続ける理由は、きっとそこにある。準備はたった一箱の新聞紙から始まる。今年の秋、ぜひ試してみてほしい。